【映画レビュー】韓国映画・タクシー運転手

知り合いに韓国通の方がいて、韓国映画おすすめ作品をいくつか紹介してもらったので、年末年始にかけて、韓国映画を4本見た。そのうちの一つがタクシー運転手。年明けの新聞に韓国エンタメ記事が載っていたので、サムネに使ってみた。

「タクシー運転手」は1980年代韓国の話。ソウルオリンピックの1年前まで、学生デモを軍隊が武力で鎮圧するようなことが起きていた。民主化されたのは、割と最近なんですね。教科書的な知識はあっても、映画で見るとリアリティがある。

私にとって韓国は身近な外国、という感覚。距離も近いし、見た目や食べ物、ライフスタイルなど欧米より日本に似ている。過去に5、6回は旅行して遠い国という気がしない。

身近な国韓国が、つい最近まで大学生が自由に学んで遊んで青春を満喫できない環境だったことが、映画を通して伝わってきた。

登場人物は、韓国の軍事政権武力弾圧を取材し世界に報道しようとするドイツ人記者と、そのドイツ人記者をたまたま乗せたタクシー運転手。この時の韓国は情報封鎖され取材すら危険な行為です。タクシー運転手はドイツ人記者の目的を知り、状況を海外メディアに報じてもらうために、韓国から無事出国させたい一心で、空港までの道のりを爆走します。

このタクシー運転手、一般人のただのおっちゃんです。ですが道中でかなり危険な目に何度も遭いながら諦めず運転を続けます。

この映画をみていると、何事も結果は分からなくても諦めない人は強いな、と思った。一人の歩みは小さい。目標に届かずに悔しい思いをすることもある。結果は自分の頑張りだけではどうにもならないし、タイミングや周囲の環境に左右される。諦めないからといって、必ず良い結果になるかどうかはわからない。

とはいえ、小さな歩みの集合体が、大きな変化を起こす。映画で全体を俯瞰してみているから感じることだけれど、大きな出来事も分解していけば小さなことの集まりなのだ。

映画ではなく現実でも小さなことでも諦めずに続けられた人が、大きな結果に結びつくんじゃないかな。結果にこだわっていては、何事も成し遂げられないし、結果はどうあれ諦めないもん勝ちだとこの映画は教えてくれた気がする。