親子関係のご相談は、お客さまが話はじめるまで躊躇される。はじめはお仕事などの相談をされ、話がノッてきて場があったまると、心の奥に閉じ込めていた「実は・・・」と長年悩んでいる親子関係について口にされる。親に対してネガティブな思いを抱えているけど、世間体的には、親子は仲が良いもの。だから誰にもわかってもらえないだろうと諦めて心に秘めているのだ。相続のご相談でも、親との関係に悩んできた方は、相続の内容より感情的なわだかまりをどこかへ吐き出したい気持ちが強い。親との関係の悩みの程度は人それぞれ。何となく親と合わない方もいれば、絶対に許せない、と強く思っている方もいる。
親が子供の相談をしてくる場合、例えば子供がいい年で独身である、とか子供の仕事や金銭感覚など、「子供自身」の状態について心配している内容が多い。親としては心配だけれど、本人に言うのは気がひけるので相談に来るのだ。反対に、子供側が親についての相談の場合、親子の「関係性」について苦痛を感じている場合が多い。(あくまで私の経験内の話)だから、もしこの記事を読んで、思い当たることがある方は、決して自分だけじゃないと思ってほしい。特別なことではない、よくあることだから。
「毒親」という言葉があるけれど、微毒〜猛毒まで「毒」は色々。毒親というほどではないけれど、困った親は確実に存在する。気持ちが交わらない、伝わらない、デリカシーのない言葉で傷つける、感情的な面でうまくいかない、困った親だ。
感情面での親子問題を抱えている場合「親が変わってくれる」ことを目標にすると、かなりしんどい。「親が変わってくれたら」と期待することは、自分の心の平穏が、親次第になっている状態だから、イライラしてしまう。親子の感情的なもつれは、親に期待しない、心の距離をとれるようになる、物理的に距離をとる、といったことでしか解消できないと思います。
子供時代に思う存分甘えられなかった場合、本来子供時代にたくさん甘えることで自然と消化される「甘えん坊」が大人になっても残っていることがある。そして親にできなかった「甘え」を、友人や恋人など、他人にしてしまう人がいる。もし大人同士で、一人がもう一人に全体重を預けると、長時間は支えられないのと同じで、一方だけが甘えていると、甘えられている方は重さに耐えられなくなる。大切な友人や恋人は、その「甘えの重さ」に耐えかねて、いずれ離れていってしまう。大人の関係はそれぞれフラットな立場「お互い様」でこそ、心地よさが保てる。
大人になった今でも「親に〇〇してほしかった」という思いを抱えている人も多い。この思いを昇華させられるのは、他人ではなく大人になった自分なのだ。昇華していけば、軽くなった心で、これからの未来の人生を満喫できる。お金はかかるかもしれないがカウンセリングなど、誰かに話を聴いてもらうことも、思いを昇華する手段の一つだ。そのお金は、自分の心の健康と今後の人生を明るくするために使うのだから、決して無駄ではないと思う。「親のせいで、お金を使わなくちゃいけない(怒)」と不平を言った方がいる。悔しいかもしれないけれど、これからの自分の人生を豊かにするために使うと思えた方が前進できる。なぜなら、世の中は決して平等ではない。不平等な世の中で、自分の世界を少しでも心地よくするためには、対処法を地道にきちんとやっていくことが現実的に効果があるから。