【映画レビュー】ミッドサマー

ある芸人さんのラジオでのトークの中でミッドサマーという映画が出てきた。映画の内容は特に紹介されず話の流れでホラー映画かな、くらいの認識。その芸人さんのトークが面白かったので見てみよう、と気軽なきっかけでした。

前半は間延びした感じで退屈だなぁ〜と思い始めたら、突然衝撃のシーン。
えええ!!!見なきゃ良かった・・・それからは目を覆いたくなるシーンの連続。狂気。これ以上見たくない。けれど結末が気になる。最後まで見ました。

ちなみにミッドサマーとは夏至。今年の夏至は6月21日。もうすぐです。この映画「明るいことが恐ろしい」がテーマらしい。ちょっと違うんですが、私も経験したことがあって。昔、ロンドンを旅した時のこと。早朝から観光して、普段より疲れる気がする。若かったこともあり、まだ明るい、まだ遊べる、疲れは気のせい、休憩したら時間が勿体無い!と無理していて、時計を見たら21時過ぎ。明るいので夜になってることに気づきませんでした。この映画の舞台スウェーデンの夏至は日照時間が18時間あるらしい。

ストーリーは、アメリカの大学院生グループがスウェーデンのあるコミューン(ある種の信仰の集団)出身の留学生から夏至祭りに招待されることで悲劇が始まる。

主人公ダニーは妹が両親を道連れに自殺する。元々メンタルが危ういダニーは、妹と両親が亡くなったことで更に情緒不安定になり彼氏に被害妄想気味。彼はそんなダニーを煩わしく思っている。めんどくさい重たい彼女ダニーと、辛い時期の彼女に寄り添おうとしない冷たい彼氏、そんな二人。この二人と彼氏の友人を加えたグループで夏至祭りへ行くことになる。

ダニーは家族全員がこの世を去り、彼氏に依存していた。夏至祭りのプロセスで次第にコミューン=家族になっていくダニーの心の動きがわかる。気持ちに寄り添わない彼氏より、気持ちをわかって一緒に泣いてくれるヤバい連中の方がいいのだろう。

この映画で思うところは色々あったけど一番の感想は「恨みは怖い」ってこと。
やった方は忘れるけど、やられた方は忘れない。ダニーは彼氏にちくちくと傷つけられてきたけど、彼にすがっていた。最終的にダニーは狂気の選択をする。彼の裏切りがトリガーになったと思う。彼の状況を冷静に考えると、ああするしかなかったのでは、と思うけれど、ダニーは恐ろしい仕返しをする。恨んでる方と、恨まれる方の「罪の重さ」のバランスが取れるとは限らない。

ホラー映画は苦手で見ないのだけれど、芸人さんのトークの軽妙さに釣られて、ついうっかり見てしまった。後味は悪いのに色使いや自然の美しさ、全体的に北欧のオシャレ感で狂気が誤魔化される。映像の中に伏線・ギミックが隠れているのが面白く、グロテスクは嫌なのに、100%嫌いになれない。不思議な映画でした。ただハッピーな気分になりたい人や、HSPなど共感能力が高い人はやめた方がいいと思います。